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オリンピック。それは4年に1度のアスリートたちの戦いの場。今回はオリンピック発祥の地、アテネでの開催ということもあり多くの人々が期待に胸を膨らませていた事でしょう。そして、私もその中の一人でした。それまでは何かの競技の世界大会が開催されていてもテレビのニュースで見る程度の興味しかありませんでした。しかし、自分自身がオリンピックにサポート側としてかかわることが決まってからは、わくわくしながらオリンピック開幕を待ちわび、アテネ入りの準備を進めていました。飛行機がアテネの空港に到着し、ギリシャに足を踏み入れたその瞬間、私はいままでに見た事のない鮮やかな世界に一瞬時がとまって見えました.。エアポートには、カラフルな色の旗がたくさんはためいており,それらには「Welcome
to ATENE」などと書いてあり、私達を出迎えてくれました。そこでは先にアテネ入りしたボランティア達がおそろいのユニフォームに身をつつみ、仕事をする姿がありました。どのボランティア達も始まったばかりのオリンピックを楽しむがごとく、笑顔で到着した人々を出迎えていました。私は初めて生で感じるオリンピックの雰囲気にこみ上げてくる何とも言えない興奮を抱えながら、IDカードを発行するためにID発行センターにむかいました。ボランティアにはそれぞれ名前,国名,セクション、入場できる場所,顔写真の入ったIDカードが発行され,さらに規定のユニフォームが支給れます。IDカードは各試合会場、オリンピック関係の施設に入場する際に必ず提示しなければならない大切なカードです。オリンピックを円滑に、無事に運営するためにセキュリティーも厳しく、選手村に出入りする際は荷物検査やバーコードによる検査等も行われています。
今回のボランティアの総合計参加人数は160万人とも言われています。ハウスキーピング、セキュリティー,フードサービス、会場案内、ドクター、バスの運転手、インフォメーションなど様々な種類がありました。私が所属したスポーツマッサージのセクションには大会期間中180人のマッサージセラピストが参加し,各選手のケアを行っていました。選手村内には2つのマッサージルームがあり、各12台のベットが準備されていました。同じ建物の中には、ゲームセンター、ビリヤード、インターネットなどの施設があり、選手達が試合によるストレスを貯め過ぎない配慮がされていました。マッサージルームはそれらとともに選手やスタッフ、コーチは無料で使用できるようになっていました。マッサージの活動自体は、オリンピック開幕前の8月1日から開始されていました。マッサージセラピストは、日本の他、ギリシャ、アメリカ合衆国、ニュージーランド、オランダ、カナダなど,様々な国から集まっていました。実際に施述されるマッサージの種類は、オイルを使用したスポーツマッサージでした。海外では、オイルやクリームを使用したスポーツマッサージが主流で、日本や中国では主流である指圧、按摩は刺激が強すぎるので行わない様にと事前に指示がありました。施術を受けにくる選手達ももちろん、さまざまな国、さまざまな種目から集まっていました。施術をする中で海外の色々な選手に「指圧や鍼を知っていますか」とか「コンディショニングを調えるのに使った事がありますか」と質問をすると、「指圧や鍼を知ってはいるし、経験はある。」と言う答えはあるものの、「コンディショニングを調えるのにはオイリングマッサージを使う」と答えた選手がほとんどだったのにには驚きました。また、アロマセラピーを心身のコンディショニングに用いている選手も少ない様で,世界中でもっともポピュラーなマッサージは、ベジタブルオイルや、クリームを用いたスポーツマッサージであるという事を実感しました。マッサージルームにおける一人あたりの施術時間は約30分間と決められていました。その中で、背中だけとか足だけといった競技によって良く使う部分のマッサージを頼まれる事が一番多かったように感じました。中にはリラックスしたいので全身をやってほしいとか、試合前で緊張しているので頭と顔と大胸筋部をという選手もいました。このように、選手達は体のケアーのみならず、気持ちをリラックスさせたり、気分転換をしたりするためにマッサージルームを上手に活用していたようです。実際に様々な選手にマッサージをして感じた事は、言うまでもなく、どの選手も筋肉の質がかなり優れているということです。中でも,黒人の選手やメダルを取るくらいのレベルにある選手の筋肉は、もちもちとしていて、肌質もきめが細かく、ずっとマッサージしていたいような気持ちにさせられるくらいでした。私はオリンピックにむけて身体を十二分に鍛え上げてきたトップアスリート達の筋肉をマッサージする事が出来,どんな物にも変えられない感動をえる事が出来ました。
しかし、逆に、心を締めつけられるような悲しい思いもしました。それは、イランのウエイトリフティングの選手をマッサージした時でした。彼は体がとても大きくて膝下がベットから出てしまうような大きな体の持ち主でした。そんな彼の大きな背中をマッサージし始めたと同時に私は指先にいくつかの硬い何かを感じました。始めのうちはおできのようなものだと考えていましたが,意識してみるとその硬い何かは私の指が触るたびに1,2センチ動き、またもとの位置に戻ってくることがわかりました。さらに、今度は良く見てみると、皮膚には切り傷のような跡が残っていました。そして、話をしていくと彼は昔、兵隊だったということがわかりました。私の憶測ではありますが恐らく彼の背中には銃弾が入っているのではないかと思いました。この時私は、彼を尊敬すると共に、平和の象徴として選手が世界各国から集まる中、一方では、今現在、祖国が戦争をし日々生と死の瀬戸際に立っている人達がいるということを実感し、大変悲しく思いました。私は幸い戦争をテレビや本の中でしか知りませんでしたが実際にこのような方を目の前にすると戦争がどれだけ人の心と身体を苦しめるものなのかを考えずにいられません。私は今回、日本スポーツアロマトレーナー協会の一協会員として、アテネオリンピックに参加させていただき、たくさんの貴重な経験をし、たくさんのすばらしい感動も味わうことができました。私はこれから先、オリンピックにおけるこのような経験を周囲の人に伝承すると共にこれからの私の人生に生かしていきたいと思います。
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